ジャンルを越える独自の世界を確立する孤高の男
メロディックで堅実なプレイをしていたかと思うと、予想がつかないスリリングで奔放なプレイをする。ドキリとさせる絶妙の間は誰にもコピー出来ない。一途なまでにギターを探究する孤高のギタリストといった感じである。
Eric Claptonの後任として加入したYardbirdsではClaptonとはタイプの違う、音数が多く、テクニカルなプレイを聴かせ、「Heartful
Of Soul」「Jeff's Blues」といった曲を残している。
だが、彼の最高峰とも言うべきアルバムは、ソロになった全曲インストの『Blow by Blow』で、フュージョン・テイストの素晴らしいギター・プレイが聴ける。「She's
A Woman」では、彼が考案したというトーキング・モジュレーターを使用し、まるで人間が話しているようなギターサウンドを作り、ソフトなピッキングでジャジーな早弾きを聴かせている。「Scatterbrain」ではよりテクニカルなプレイ、また「Cause
We've Ended As Lovers」ではエモーショナルな感情移入されたプレイが堪能出来る。『Blow by Blow』後に、Jan
Hammerを迎えて制作された『Wired』では更にフュージョンっぽいプレイが聴け、これもいちおしの名プレイだ。
大物ミュージシャンとの共演の多い彼だが、中でもBeck Bogert & Appiceも必聴の名盤である。
さて、数あるBeckのプレイの中で個人的に最も好きなのは、かつての盟友との共演で話題となった「People Get Ready」だ。暖かみと深みのある音で心にスーッと入り込むような伸びやかなプレイ、アーミングを駆使したソロ・プレイ、エンディングのミュートした音まで、すべてが絶品である。一度でいいからあんな音を出してみたいものだ。名ギタリストは1音弾いただけでも違うと言うが、彼の場合、そのサウンドだけですでに最高級である。
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