千葉といえば、まず思い浮かぶのが醤油と落花生。どちらも全国一の生産量を誇りますが、他にも房総の伝統を伝える民芸品、工芸品、特産品は多数あります。風土が生んだ品々をいくつか挙げてみます。
●上総鯉のぼり
上総地方に江戸時代から伝わる手作りの鯉のぼり。昔ながらの手法を用い、鯉のウロコの形を描き、刷毛で何度も塗り重ねて完成させます。印刷した鯉のぼりとは、ひと味違った趣があり、個性も豊かです。●上総角凧
江戸時代中期から伝わる飾り凧です。柄は鯉、武者絵、家紋、屋号、子供の名前などです。昔は節句や大漁を祝って空高く上げたといいます。今はお祝い用として作られています。●下総手描友禅
江戸の技術を受け継いだ八日市場の伝統産業です。もともとは分業で成り立つ友禅染めですが、下絵から染め、仕上げまでひとりでこなします。品があり豪華で、独特な模様も見事です。●山武杉の建具
山武市の杉は木目が美しく、加工したときの色艶にすぐれているといわれています。この良質な山武杉を使った組み込み障子が特に有名です。
●房州うちわ
明治時代、男たちが漁に出た後、家に残された婦人や老人の手内職として発展したもので、今では日本三大うちわのひとつにに数えられています。弾力性に富んだ房総産の女竹を使い、柄の部分の竹が丸く、その先に半円の格子模様の窓を開けているのが特徴です。最近は、絽や紬などを使用した民芸調のうちわも登場しています。●芝原人形
東京浅草に伝わる今戸人形をもとに、明治初年から長南町芝原で作られています。粘土を抜型に入れ、乾燥させて素焼きし、胡粉をかけて泥絵具で彩色するもの。動物や雛人形など、素朴な味わいを感じさせる郷土玩具です。●銚子竹すだれ
江戸時代にもてはやされた江戸すだれが原型。県内産の青竹を原料とし、竹のもつ美しさを保ちながら編み上げます。日除け用のほか室内装飾用もあります。●野田和樽
醤油の町・野田。その醤油樽の製法技術を守り江戸時代から作られています。角樽には反りのある角に伝統の形を残し、太いたがに野田の技法を取り入れ、表面に竹の節を出さないように巻くなど、野田独特の美しさをもたせています。民芸樽も逸品です。●江戸つまみかんざし
江戸初期、上方から江戸に伝わり文化・文政年間(1804〜1830年)に最盛期を迎えた江戸つまみかんざし。明治以降も盛衰を繰り返してきたが、今でも市川でその技法が受け継がれ、晴れ着姿をより引き立てるものとして、多くの女性に親しまれています。●押絵羽子板
羽子板はもともと遊具として発展してきたものです。しかし押絵羽子板は、金襴などを使った豪華なもので、縁起物、飾り物として人気があります。押絵羽子板の製造技術法が確立したのは江戸時代といわれています。
●雨城楊子
楊子作りは江戸時代に武士の内職として盛んでしたが、明治維新後は実用より装飾品として珍重されました。君津市の雨城楊子は、材料となる黒文字の木肌に細工を施すなど、使うのがもったいないほどの素晴らしさ。いすみ市には、この雨城楊子の流れをくむいすみ楊子もあります。