おしょうとオロチ


 昔々、萬満寺(まんまんじ/松戸市馬橋)にとても優しい和尚さんがいました。
和尚さんは 人間だけでなく、鳥や虫にも優しかったので、動物もみんな和尚さんが大好きでした。
 萬満寺の裏には池があって、一匹のオロチ(大きなヘビのこと)が住んでいました。
もちろんオロチも和尚さんが大好きす。

 ある日のこと、オロチはお寺のお客さんを見て
「これはよく太ってうまそうだ」と思わず真っ赤な口を大きく開けてお客さんを飲み込もうとしました。
オロチはとても大きな体なので、食べても食べてもお腹がすくのです。
それでどうしても我慢が出来なくなってしまったのです。
 「こらっ!何をしている!」和尚さんは危ないところでそれを見つけ、お客さんを助けました。
そしてカンカンに怒って、オロチを近くを流れる江戸川へ追っぱらってしまいました。

 「いけないことをした。いつも優しくしてくれた和尚さんのお客さんを食べようなんて、本当に悪いことをしてしまった。」お寺から追い出されたオロチは江戸川で涙を流して反省しました。
それからというもの、オロチは「和尚さんに会いたいなぁ。お寺へ帰りたいなぁ」と川の上からお寺の方を見て泣くようになったのです。
 それどころか、江戸川を行ったり来たりする舟に馬橋の人が乗っていると、オロチにはそれがわかって、懐かしさのあまり舟を止めてしまうのです。
舟を漕ぐ船頭さんは、漕いでも漕いでも舟が進まなくなると、「これはきっと舟の中に馬橋に住んでいる人がいるに違いない」と思い、
「この中に馬橋の人はいるかね」と訪ねました。
「おら、馬橋に住んでいるだ」と手を上げる人がいると、船頭さんは「手ぬぐいを持っていたら川の中のオロチへすぐに投げてやってくれ」と頼みました。
馬橋の人が持っていた手ぬぐいを川へ投げるとオロチは嬉しそうに寄って来て、懐かしそうに手ぬぐいをくわえ水に潜って行くのでした。
すると舟はもとどおりに進めるようになります。
 江戸川ではしばらくの間、こういうことが続いたそうです。


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