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むかしの話しです。 この屋敷には十何人もの奉公人がいましたが、みんな不真面目で天狗様も手を焼いていました。 「おーい、今日は田の草取りだから精を出してくれよ。 しかし奉公人たちは、 「また天狗様がウソ言ってるな。 などと陰口をたたいて真面目に田の草取りをしませんでした。 夕方になりました。 「おお、今日は御苦労さんだったね。この暑いのに精出してくれたかな」 と言って、天狗さんはニヤニヤ笑いました。 「旦那様、朝のお約束の大御馳走は出してもらえますかい?」 と尋ねると、天狗さんはすました顔で、 「おや、お前たちにはもう大御馳走を出したはずだがねぇ」 と言いました。 「やっぱりケチの天狗様の言うことはあてにならねぇなぁ」 と、ブツブツ文句を言いながら、その晩は出されたいつもと同じまずい飯を食べ、せんべい布団にくるまって寝てしまいました。 次の日もギラギラ照りの田の中を這いずり回って田の草取りをしていると、誰かが大声を上げました。 「おーい、こんな所におかしらつきの酒盛りの御馳走が出てるぞぅ」 みんな驚いてその周りをぐるりと取り囲んで、覗き込みました。 「あーあー、おらがの天狗様もたまには味なことをするなぁ」 みんなが話をしているのを天狗様は陰で面白そうな顔で聞いていました。 |