端馬のキツネ


 明治もそろそろ終わる頃、端馬(富山町)というところに5匹のキツネがいました。
この中にいたずら好きな2匹のキツネがいて、よく人間を困らせました。
今の富山町農協周辺には、当時多くのお茶屋が軒を連ねており賑わいを見せていました。
ある日のこと ……。

 2匹のキツネは「おれたちもひとつ人間さまに化けて、お茶屋で一杯といこうか」と、
1匹は金持ちの60歳、もう1匹は20歳ほどの気風のいい若者に化けて小雨の降る夜に出かけて行きました。
お茶屋ののれんをくぐると、二人の姿を見た仲居はニッコリ。
これは上客とばかり2階へ案内し、さらには店の主人も満面に笑みをたたえ挨拶に出てきました。
運ばれてきた料理は山海の珍味あり、上等の酒ありで、飲めや歌えの大騒ぎ。
すっかり腹も充たされ、仲居が追加のお酒を取りに行っている隙きに2匹はドロン。
戻ってきた仲居が天井を見上げると、ヒラヒラと風に揺れた紙に
「茶屋の仲居は手管が上手、ダマすつもりがダマされた」と書いてありました。
翌日、草むらの中で二日酔いの2匹のキツネを見た人がいたそうな。


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