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昔、伊能(現成田市大栄町)の名主の所に吾助という働き者の作男がいました。
ある日のこと、吾助はいつものようにまだ夜が明けきらない薄暗いうちから、伊能原へ馬のアオを連れて草刈りに出かけました。
伊能原に着くと、吾助はアオを木につないで草刈りをしていました。
ところが、ふと気がつくと、いつの間にかアオがいなくなってしまっていました。
吾助は、伊能原中を捜し回りましたが、どこにもアオは見あたりませんでした。
名主の旦那に言い訳は通用しません。
吾助は伊能原の塚の上の一本松にのぼって一日中、
「ホーイ、ホーイ、アオよ」
「ホーイ、ホーイ、アオよ」
って叫び続けました。
すると、その時です。
ピカッと、稲妻が走って、バッシーン、ガラガラ、ドッスーン!
一本松に雷が落ちました。
吾助は黒焦げになって、まっ逆さまに落ちて死んでしまいました。
それからというもの、一本松のあたりを風の強い日に村人が通ると、
「ホーイ、ホーイ」
と呼ぶ吾助の声が聞こえるようになりました。
それで、この松を「ほいほい松」って村人は呼ぶようになったということです。
吾助が死んで一年ほどたったある日、名主がこの原を通ると、かわいい子馬をつれたアオが走り寄ってきました。
名主は吾助の墓にお参りして、このことを話して篤く供養しました。
現在、この「ほいほい松」は枯れてしまい塚だけが残っています。
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