はっちむどんのきつね


 昔々の話し。坂戸の尾牛台(佐倉市)の崖下に、はっちむどんという人が住んでいました。
はっちむどんの家は大きな古い屋敷で、大勢の奉公人が働いていました。

 尾牛台には「はっちむぎつね」と呼ばれるキツネがいて、はっちむどんはこのキツネをとてもかわいがっていました。
キツネに子供が産まれると、親ギツネが「ケンケンケン」と鳴きます。
それを聞くと、はっちむどんは、「ほれ、子ギツネが産まれた。お祝いをあげよう。」と、重箱にお赤飯をいっぱいに詰め、キツネの穴の入り口に置きます。
二、三日たつと、はっちむどんの家の台所には、きれいに洗った重箱が返してありました。
 ある日のこと。はっちむどんは、よその村からの帰りがすっかり遅くなってしまいました。
すると見なれない奉公人が、ちょうちんを持って迎えに来ました。
「おや?」と不思議に思いながらも、二人で帰りを急ぐと、
屋敷の前を流れる小川を、その奉公人がピョーンと飛び越えました。
それを見てはっちむどんは、にやにやしながら、「これ、また化けたな。」と声をかけました。
するといつの間にか奉公人は見えなくなり、尾牛台の方へ走るキツネが見えたそうです。
その時は必ず、「いつもご苦労さん。」と声をかけてやったということです。


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