犬の首が蛇を喰う


 その昔、天正年間に、勝浦の上野地区に関平左衛門という領主がいました。
ある日、左衛門は愛犬を連れて平沢山(大多喜町)に狩りにやって来ました。
山を分け入り、獲物を探しているうちに、左衛門は無性に眠くなってしまい、とある木陰でトロトロとまどろんでいました。
 ところが犬がさかんに吠え続けています。おかげで左衛門はなかなか眠ることが出来ません。
ついに怒った左衛門は、思わず一刀を払い、犬の首をはねてしまいました。
首は宙に舞い上がりました。
ところがその首が落ちてきません。
不思議に思った左衛門が頭上を見上げると、左衛門のすぐ上に巨大な蛇が鎌首を持ち上げて左衛門を襲おうとしています。
そしてその大蛇に犬の首が噛み付いているではありませんか。
 左衛門ははじめて愛犬が自分に危険を知らせるために吠え続けていたことに気づき、塚を建てて愛犬を葬りました。

 中野の光善寺には左衛門が使った弓矢や、鎌倉の鶴岡八幡宮に財物を寄進した時の書き付けが残されています。


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