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昔、むかし。ある所にそれはそれは、ヘソ曲がりの雨蛙がいました。
ある日のこと、雨蛙は赤蛙と道で遊んでいました。
すると、赤蛙が、ひづめの音を聞きつけて、
「馬の走って来る音が聞こえるぞ。逃げねえと、蹴っとばされてしまう」
って、いいました。
「なあに、馬なんか平っちゃらのちゃらだ。おらは、逃げねえから、にしゃ逃げるがいいだよ」
と言って、雨蛙は胸を張って威張っています。
「このヘソ曲がり!そんなら勝手にしろ」
と、赤蛙は道ばたの草むらの中にヒョイと、飛び込みました。
そこへ裸馬が、ダッダッダッ……っと走って来ました。
雨蛙は、ひづめに引っかけられて、遠くの方へとふっ飛ばされてしまいました。
赤蛙が心配して草むらから出て行くと、雨蛙は目玉を白黒させてへたばっていました。
「だから、言ったじゃねえか」
ところが雨蛙はよろめきながらも、
「なあに、おらは何ともねえぞ」と言っています。
「それじゃあ、蹴っ飛ばされた時にゲェローって声を出したのは、ありゃ何だよ」
「ああ、あれはな、馬の奴がおらを踏んづけそうになったから、フザケンナイ!って、叱ってやったんだ」
「それじゃあ、あの時、目ん玉をグリグリとひっくり返していたのは、ありゃ何だよ」
「ああ、あれな、コンヤロー!って、睨みつけてやったんだ」
「それじゃ、もう一つ聞くぞ。あの時、足をピーンと伸ばして、伸びていたじゃねえか。ありゃ何だよ」
「ああ、あれはな、馬の奴をエイ!コラア!って蹴っ飛ばしてやったんだよ」
これには、赤蛙もあきれて、「ゲエロッ」と言いました。
昔、この雨蛙のお母さんは、子供が大変なヘソ曲がりなことをいつも心配していました。
でもヘソ曲がりは一向に直りません。
お母さんが年をとって息を引きとる時に、ヘソ曲がりの子蛙を呼んで、こう言ったそうです。
「お前に最後の頼みがある。おらの墓は川端の低い所につくってくれ」
こう言えば、へそ曲がりの子蛙は、丘の上につくるに違いないと考えたわけです。
ところが、さすがの雨蛙も、親の遺言なのでいつものように逆らう気にはなれませんでした。
言われた通りに川端の低い所にお母さんの墓を作りました。
墓は雨が降りそうになると大水で流されてしまうのではないかと心配でたまりません。
そこで、雲行きがあやしくなると、
コロコロッ クルクルッ
ケケロ ケケロ ケエロ ケロ と鳴いて、
「どうか、お母さんの墓を流さねえでくだせえまし」
と、天の神様に頼んでいるのです。
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