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むかし昔、ある所のお話し。 「ごめんください、ごめんください」 と、戸を叩きました。 「こんなに遅くに、誰だい?」 と、白髪頭のばあ様が出て来ました。 「えっへっへっへ、久しぶりに子供のやわらかい肉が食えるぞ」 女の子は怖くてブルブルふるえて泣いていましたが、そのうちに、どうにかして逃げなければいけないと考えました。 「かわや(便所)へ行きたい、かわやへ行きたい」 と、泣き叫んびました。 「ああ、うるせえ子だこと。これじゃ寝ることも出来ねえや」 と、ばあ様は縄をつけたまま、かわやへ行かせました。 一枚目のお札は、「火となれ」 そして、神様が女の子をかわやの窓から逃がしてやりました。 ばあ様はいつになっても女の子が出て来ないのでかわやに見に行きました。 「逃げられてしまったぞ。ようし、捕まえてやるからな」 動物のように鼻でフンフンとにおいをかぎながら追いかけ始めました。 「火になれ!」 1枚目のお札を投げつけました。 「なんのこれしき!」 鬼ばばあは火の中をくぐって追いかけて来ます。 「川になれ!」 2枚目のお札を投げつけました。 「山になれ!」 鬼ばばあの前に高い山がそびえました。 そこへ鬼ばばあが息を切らしてやって来ると、表の戸をドンドンドンドンと叩きました。 「何の用かね、うるせえぞ」 と、女の子の父が戸を開けました。 「女の子が来たはずだ」 と、鬼ばばあが目の色をかえて立っていました。 「ああ、女の子ならかまどの大釜の中に1人で隠れているぞ」 と言いました。 「あっちっちっち、助けてくれぇ」 と、鬼ばばあは泣いて騒ぎましたが、 「助けたらこっちが食われてしまう」 と言って、火をどんどん燃やしました。 |