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夏の大会の組み合わせ法に異義あり

 夏の甲子園の組み合わせ抽選の方法について異義があります。
 甲子園での組み合わせ抽選の方法は春と夏とで違うのをご存知でしょうか?春は最初から決勝までのすべての組み合わせを決めるのに対し、夏は3回戦までを決めて、その後はその都度抽選をしています。次にどこと当たるのか分からないですし、日程的な有利不利も分からないので毎回興味深く注視しています。
 言うまでもなく抽選はクジによって決められるので運に左右されます。1回の運・不運ですべてが決まってしまう春の方式よりも、夏の方式の方が何度もクジを行うことで公平性が増すので良いと思います。

 この夏の抽選ですが、1994年(H6年)以前は最初は初戦のみの抽選で、2回戦、3回戦も毎回再抽選していました。1995年1月の阪神大震災により球場周辺の交通の環境が悪くなったため、事前に試合予定を決めることで、選手や応援団の移動の予定を立てられるよう、3回戦までを一気に抽選してしまう方式に変えられ、それが現在の方式になっています。
 個人的に異義を唱えたいのはこの部分で、1995年当時はやむを得ないとしても、現在では球場周辺の状態も震災以前に戻っていますし、以前のように1回1回抽選を行う方式に戻した方が良いと考えています。応援団の移動や観戦の日程を立てるのに有利というのは分かりますが、あくまで主役は選手たちであってほしいと思います。

 3回戦まで一気に決めてしまう現在の方式と初戦のみを抽選する方式にどのような違いがあるのかを説明します。

 「運も実力のうち」と言います。プレー中の運だけでなく、相手や日程を決める抽選のクジ運もまた実力のうちです。しかしそれは抽選結果に最大限の公平性を持たす努力をした上での話しです。クジ運と言っても、「最善策を尽くした上でのクジ運」でなければなりません。極端な話し、1チームだけ1回戦から準決勝までを不戦勝にして、いきなり決勝を戦うことが出来る方式を作ったらどうでしょうか?クジ運で決勝進出を果たしたとしても、「運も実力のうち。決勝進出おめでとう」と思えるでしょうか?最初からその1チームだけ、明らかに優勝への近道になることが分かっています。そんな方式は当然、公平性の低い方式と言えます。

図1
A
B
C
D
E
F
図2
A
B
C
D
E
F
 これは極端すぎる例ですが、現在の3回戦まで決める方式もこれに通じるものがあると思うのです。

 記念大会を除き、出場チームは49。最初に32チームに減らすために1回戦を17試合行うことになります。そして不戦勝のチームが15チーム出来ます。不戦勝のチームについての扱いについては右の2種類が考えられます。どちらも1回戦からの4チームと2回戦からの2チームの例を示しています。現在採用されているのは<図1>の方式です。
 <図1>の場合、EとFのチームが有利に思えるので、<図2>の方式にすれば公平になるでしょうか?<図2>の場合だとAとFのチームは初戦ですでに1試合経験しているチームとの対戦になります。当然、強い方のチームが勝ち上がって来るのですから、甲子園に慣れている上に強いチームとの対戦になってしまい、このような立場のチームが15チームも出来てしまうのは少し公平性に欠ける気がしますし、初戦が「BとCの勝者」というよりもズバリ決まっている方が良いように感じます。
 なので、1回戦が不戦勝となる15チームが<例1>のEやFになる現在の方式が最善策だと思います。この場合、EとFの2チームはA〜Dの4チームよりずっと有利になりますが、そのハンデは3回戦の組み合わせ法で軽減出来ると思うので、後で説明します。
 1回戦が17試合、2回戦は不戦勝の15チームのうちの14チームが直接ぶつかる7試合、残った1チームと1回戦で勝利している1チームが対戦する1試合、1回戦を勝った残りの16チームがぶつかる8試合の計16試合ということになります。49番目のチームが1回戦を勝ったチームと対戦する部分のみ<図2>の方式になりますが、これは出場チームが奇数なのでどうにもなりません。これこそ最善策を尽くした上でのクジ運ということになります。

図3
A
B
C
D
E
F
G
H
図4
I
J
K
L
 異義があるのはここからです。つまり3回戦の抽選方法です。
 現在はベスト8進出(3回戦突破)までのパターンとして<図3>と<図4>の2パターンがあります(ここでは49番目のチームは考慮に入れていません)。
 どちらのパターンに入った方が有利でしょうか?もちろん<図4>の方です。
 これは単にベスト8(3回戦突破)まで1試合少なく済むというだけではありません。クジ運によっては弱いところ同士が初戦でぶつかることがあります。それはクジ運なのでそういうこともあるでしょう。
 もしその弱いところ同士の対戦というのがIとJだったらどうでしょう?比較的強いLがKに勝った場合、次も勝ち進む公算が高くなり、比較的容易にベスト8進出ということになります。
 しかし、もし弱いところ同士の対戦が<図3>のEとFだったら状況はだいぶ違います。比較的強いHが2勝を挙げる可能性が高くなるのは<図4>のパターンと同じですが、ベスト8進出のためにはまだA〜Dの中の最強チームに勝たなくてはなりません。EとF以外に、たまたま弱いチームがA〜Dすべてに入る可能性はほとんどありません。
 つまり、この現在の方式ではベスト8進出までに1試合違うだけでなく、クジ運に左右されやすい方式だとも言えることになります。他に最善策がないのであれば仕方がありませんが、最善策は他にあります。
 最善策との比較の前にもう一歩先まで現在の方式の欠点を考えてみます。
 もしその先の準々決勝の組み合わせ抽選で<図4>のパターンから勝ち上がったチーム同士がぶつかったらどうなるでしょうか?ベスト8のうち、<図3>のパターンが4つ、<図4>のパターンが3つ、その他のパターンが1つなので、<図4>のパターン同士がぶつかる可能性は28.6%。準々決勝4試合のうち1試合はこのパターンになる可能性があるわけです。その場合、ベスト4進出と言っても8チームの代表に過ぎません。8チームの中での勝ち上がりといえば、<図3>のパターンから勝ち上がったベスト8のチームと同じです。「準々決勝は必ず<図3>のパターンと<図4>のパターンが対戦する」というように出来れば話しは別ですが、それでは抽選方法が複雑になり過ぎてしまいます。
 実際、そのような不公平感のある抽選結果になってしまっている年もあります。2002年の大会の例を見て下さい。1回戦が不戦勝のチームが下の方に集中してしまい片寄っています。ベスト4進出の近江高校は3勝で8チーム中からの勝ち上がり。一方、日大三高は同じベスト4でも4勝していて16チームの中から勝ち上がっています。決勝戦はこの両校の対戦になるのですが、1回戦不戦勝校同士の対戦となる2回戦7試合のうち、6試合が近江高校の側に入ったことになります。その結果、日大三高は29校の中から勝ち上がり、近江高校は20校の中から勝ち上がったことになります。本来、理想は24と25です。これは近江高校を悪く言っているのではありません。出来るだけ公平性を保つようにした抽選方法を考えているのです。
図5
A
B
C
D
E
F
 1994年まで採用されていた初戦のみを決める方式ではどうでしょう?この場合、2回戦終了までは現在の方式と変わりませんが、3回戦では<図5>のパターンが出て来ます。現在の方式ではこのパターンはありませんが、1994年以前はよく見られたパターンです。実際、1994年の例では<図4>のパターンになったのが1例のみで、<図5>のパターンが5例あります。
 もちろん、これも抽選によるクジ運ですから、偶然、現在の方式と同じような結果になる可能性もあります。しかし、そうならない可能性もあるわけです。最初からベスト8を8校から1校の<図3>のパターンと4校から1校の<図4>のパターンのみに限定してしまうよりも、ずっと公平性が高く、また抽選も面白いものになると思います。

 応援団等の日程調整を優先する必要性が高いというのであれば、3回戦までを決めるのではなく、2回戦までを決める方式はどうでしょう?2回戦終了までで33試合が行われる計算になり、つまり33校が甲子園を後にしていることになります。残りは16校です。2回戦までの決定でも33校分の日程を事前に決めることが出来るのですから日程調整を重視している方式に変わりはないと思います。

 1994年以前にも多く高校野球観戦をしていた者の一つの意見&希望です。