高校野球表紙 > 房総高校野球物語

房総高校野球物語

銚子商の台頭

サヨナラホームラン
 昭和36年(1961年)、千葉大会、東関東大会を突破した銚子商が3年ぶり2度目の甲子園に進出。初戦の法政一戦から白熱の展開。延長にもつれこんだ試合は劇的な幕切れが待っていた。
 延長12回表まで終わり1-1の同点。ここまで相手の3倍以上の14安打を放ち、圧倒的に押しながら残塁の山の銚子商。得点は芝野のホームランによる1点だけ。嫌なムードが漂っていた。
 延長12回裏、この回先頭の柴が打席に入る。法政一のエース秋庭が投じた初球を思い切り良く叩くと打球は空高く舞い上がり、そのままラッキーゾーンに吸い込まれた。それまでのもやもやを吹き飛ばす劇的なサヨナラホームランである。高校野球が始まって半世紀、史上初のサヨナラホームランであった。

「痛恨の暴投」
 2回戦で2年生剛腕投手・尾崎行雄を擁する浪商と対戦した。優勝候補に挑んだ銚子商は5回に先制するなど互角に試合を進める。
 1-1で迎えた8回、浪商は一死3塁の絶好のチャンス。ここで銚子商はスクイズを見破り藤本投手が外しゆっくりアウト・・・? のはずが、捕手が反応しない。サイン違いだ!ボールはファウルグラウンドを転々とし、3塁走者が生還し浪商が逆転。サインは確かにウエストボールであり、投手の藤本は暴投という認識はない。意図的に投げた1球だった。結局これが決勝点となり、銚子商は甲子園をあとにした。
 翌日の新聞には「痛恨の暴投」という見出しが踊っていた。浪商はそのまま勝ち進み優勝、尾崎は2年で中退し東映フライヤーズに入団、新人王に輝いている。

新星・習志野
 昭和37年(1962年)は創部6年目の習志野が大活躍。猛打で勝ち進み、千葉寺で行われた東関東大会決勝では好投手・伊東の市立銚子と対戦。どちらが勝っても初の甲子園ということで異様な熱気の中の決勝となった。2点リードされた3回、松本の豪快な3ランで逆転した習志野が、小沢、大橋、そして再び小沢の継投で接戦を制した。
 甲子園ではまったく無名で「シュウシノ?」と呼ばれてしまうほど知名度が低く、名門・中京商を相手に習志野の圧倒的不利が予想されたが、小沢の好投もあり好試合となった。惜しくも敗れはしたものの、「来年も来いよ」と暖かい声援に送られ甲子園をあとにした。

木樽と谷沢の対決
 昭和38年(1963年)、3たび甲子園に登場した銚子商は柳川商、静岡、磐城を破りベスト8に進出した。この時、肩を骨折したばかりの1年生投手・木樽が1塁手として出場している。
 昭和40年(1965年)は、超高校級と言われた剛腕投手・木樽を擁する銚子商と、これも千葉を代表するスラッガー・谷沢を擁する習志野が優勝候補。
 木樽は春の大会、成田高グラウンドで谷沢に特大本塁打を打たれている。夏の千葉大会決勝で銚子商は習志野と対戦、雪辱に燃える木樽は谷沢を4打数ノーヒットに抑えた。

力投する木樽投手甲子園準優勝
 甲子園での銚子商は強く、木樽の速球もうなりをあげる。伝統ある京都商を接戦で破ると帯広三条、丸子実、高鍋を下し、ついに千葉県勢初の決勝戦に進出した。
 決勝の相手は原貢監督(巨人監督・原辰徳の父)率いる三池工。甲子園は「黒潮打線」の「海の子」銚子商と炭坑の街「山の子」の対戦に沸いた。下馬評では銚子商の有利。原監督も試合前「お前たちの勝てる相手ではない」と言った。6万の観衆の中での決勝戦。試合は木樽と三池工・上田の投手戦となる。0-0で迎えた7回裏の三池工は四球を足がかりにタイムリーと捕逸で2点。1塁側スタンドに立つ40本の大漁旗の願い空しく試合は終了。すっかりヒゲの伸びた斉藤監督は人目をはばからず声を上げて泣いた。

1

(遊)

斉藤

習志野

2

(三)

阿天坊

銚子商

3

(二)

酒巻

千葉工

4

(左)

木樽

銚子商

5

(中)

谷沢

習志野

6

(一)

木内

成田

7

(右)

飯田

千葉工

8

(捕)

菅原

成田

9

(投)

鎌田

専松戸
日韓戦で夢のラインアップ#1
 この年12月、日韓戦が行われ、このうち第2戦からの3試合が千葉で行われた。韓国側が京畿道選抜チーム。初戦は銚子商が単独チームで対戦。序盤はやや韓国が押していたが、中盤からは完全に銚子商ペース。7-0で快勝した。第2戦は県新人選抜(1,2年生)が対戦。千葉工の渡辺が1失点したものの、小川(市立船橋)、太田(千葉東)、名和(木更津中央)、大木(成東)が好投し1-1で引分け。第3戦は県選抜が対戦し、夢のラインアップとでも言うべき布陣が組まれた(右表)。投手は先発・鎌田(専大松戸)に続き、瓦本(千葉敬愛)、小川(市立銚子)、木樽(銚子商)が投げている。試合は県選抜が圧倒し、斉藤、谷沢の3塁打、木樽、阿天坊の2塁打等で11-4で圧勝した。監督は斉藤(銚子商)、コーチは笹森(千葉工)、主将は加瀬(銚子商)。